ウサギノネドコ図鑑 1 パイライト
これは現代美術家がつくったアートピースではなく、まぎれもない自然物。
パイライトは立方体の他に球体や多面体(十二面体)など様々な形で産出する鉱物です。
もちろん、数多ある鉱物の中でパイライトだけがこのように様々な形になるわけではないのですが、取り分けこのような見事な立方体として多産する鉱物はそう多くはありません。
どうしてこのような形になるのかということは、ムツカシイ話になるので割愛させていただきますが、
科学で切り込む以前に「美しい」。
なにがそんなに美しいのかというと、第一にこれが自然物であるという事実。
人間が何かの部品や造形物として作ったものならいざしらず、なにか目的があるわけでもなく、ただそこにあった元素にこのようになる性質があって、同時に周辺の環境が結晶の生成を許したためにこのような形になっただけで、そこには一切の意図がない。
まさしく「自然にできたもの」なのです。
次の美しさのポイントは「純粋さ」です。
基本的に結晶というものは、不純物が少ないほど、且つ形成される時間がゆっくりであるほど美しくなります。
鉱物にはそれぞれに独特の特徴がありますが、整った環境で時間がかかってできたものほど純粋で美しいものになり、その特徴も際立ちます。
ダイアモンドが大粒なほど、また透明度が高いほど高価なのは、その美しさが長い長い年月をかけて純粋に成長した証であり、そういった結晶は大変少なく貴重だからなのです。
パイライトにおいて「完璧な立方体」はほとんどないものの、はじめて見た人はその結晶の端正な形とそこにある純粋さに魅力を感じずにはいられないでしょう。
ちなみに形の違いは主に産地による環境の差で現れます。
立方体のものならスペイン、球体のものは中国、多面体はペルーなどが有名です。
形成される環境が違うだけでここまで様々な形になることにも驚きです。
比較的多産で安価なのでお財布に優しい上に見事なまでの造形美。
かつてはその色味から採掘した者が金と間違えたために「愚者の金」と呼ばれたこともあるようですが、
個人的にはさしずめ鉱石造形美部門で金賞でもいいくらいです。
ミセスタッフ
aoyama
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